あなたのチームは、今まで Google Sheets を使ったことがありますか?
軽くて扱いやすく、共同作業もしやすいので、多くのチームがデジタル化の初期段階でまず選ぶツールです。データ記録、タスク管理、コンテンツ整理、基本的な集計など、表計算で十分に対応できる場面も多いでしょう。
ですが、チーム規模が大きくなり、関わる人数や業務の複雑さが増えるにつれ、表計算の限界が見え始めます。部門をまたぐ協働や細かい権限管理、プロセスの仕組み化などが必要になると、Google Sheets だけでは対応しきれなくなってきます。

Hacker News でも Google Sheets の代替を探す声は多く、「複雑な業務には一時的な道具にしかならない」「大規模データや高度なモデル構築には向かない」といった意見が見られます。フルのデータ分析を回すには頼りない、という指摘もあります。
そもそも Google Sheets はあくまでスプレッドシートであり、業務システムとして設計されたものではありません。
そのため、CRM やプロジェクト管理、資産台帳、承認フローなどを Sheets で運用しようとすると、データ構造が維持しにくい、権限が細かく設定できない、自動化の拡張が難しいといった壁にぶつかります。
こうした実際の利用状況を踏まえ、Google Sheets の代わりになり得る代表的なツールを整理しました。チームの規模や課題に応じて、より適した選択肢を見つける参考になれば幸いです。
これから次の3つの視点で紹介します:
- コスト:10/50/100人の年間費用イメージ
- 最適な利用シーン:どんなチーム・どんな課題に向いているか
- 機能面:データ構造、権限、拡張性、自動化、使いやすさなど
Google Sheets の代替候補
本文に入る前に、今回取り上げる8つのツールをニーズ別に分類しました。まずはざっくりタイプを見てみてください。
① 業務システム構築系ツール
NocoBase、Retool、Appsmith、Budibase
表計算の限界を超えて、本格的な社内システムに移行したいチームに向いています。データモデル、権限、自動化フロー、モジュール構成などが必要な場合に適しています。
② 構造化データ管理ツール
Airtable、Smartsheet、Baserow、NocoDB
表計算では物足りないが、完全な業務システムまでは要らないチームに最適です。構造化データモデルや複数ビュー、基本的な権限管理ができ、一部はセルフホストにも対応しています。データをより整理された形で扱いたい場面に向いています。
価格比較表
| ツール名 | バージョン / モード | 10名チーム 年間コスト | 50名チーム 年間コスト | 100名チーム 年間コスト |
|---|---|---|---|---|
| Airtable | Team | $2,400 | $12,000 | $24,000 |
| Airtable | Business | 🔴$5,400 | 🔴$27,000 | 🔴$54,000 |
| NocoBase | Standard(一括買切り) | ✅$800 | ✅$800 | ✅$800 |
| NocoBase | Professional(一括買切り) | $8,000 | $8,000 | $8,000 |
| NocoDB | Team | ✅$228 | ✅$1,140 | ✅$2,280 |
| NocoDB | Business | $1,188 | $5,940 | $11,880 |
| Baserow | Premium | $1,200 | $6,000 | $12,000 |
| Baserow | Advanced | $2,160 | $9,000 | $18,000 |
| Retool | Standard | $1,200 | $6,000 | $12,000 |
| Budibase | Premium | 約$2,700 | 約$5,850 | 約$8,700 |
| Appsmith | Business | $1,800 | $9,000 | $18,000 |
| Teable | Professional | $1,200 | $6,000 | $12,000 |
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💡 上の表から分かるポイント:
- チームが大きくなるほど、Baserow、Appsmith、Retool、Teable などの「人数課金型ツール」はコストが一気に上がります。小規模なら負担は小さいものの、50人・100人規模になると年間費用が急激に増えます。
- NocoBase は唯一、ユーザー数に関係なく料金が変わらない仕組みで、Standard は年間800ドル、Professional は8,000ドル固定です。多人数での利用や部門横断の運用でも費用が読みやすいのが特徴です。
- NocoDB、Baserow といったデータベース系ツールは比較的コストが安定していますが、こちらも人数課金で、Google Sheets からより構造化されたデータ管理へ移る「中間ステップ」として向いています。
- Budibase、Teable は中くらいの価格帯で、表計算に慣れた人でも使いやすいUIを持ち、Google Sheets からアップグレードしたいが、本格的な業務システムまでは要らないチームに適した選択肢です。
- 全体的には、自ホスト型ツールは利用人数が増えるほどコスト面で有利になり、Sheets 依存のデータを徐々に構造化して長く使える仕組みに移したい場合に向いています。一方、SaaS 型は小規模チームや期間限定プロジェクトに向いています。
💡 おすすめ:ビジネスアプリ開発を加速する7つの自社ホスティングAIツール
NocoBase
公式サイト:https://www.nocobase.com/
NocoBase は、社内システムや管理画面、データを軸にした業務フローを作れるオープンソースのノーコード/ローコードプラットフォームです。自ホスト運用にも対応し、公式のホスティングサービスもあるため、表計算から本格的なシステム管理へ移りたいチームに向いています。アプリは画面操作で組み上げられ、プラグインや API で機能を追加できます。場面によっては公式の AI 機能を併用し、入力作業やフロー効率を高めることもできます。
使用シーン
表計算では手に負えなくなってきたデータ管理を、より整理された形で扱いたいチームに適しています。 例として:
- 顧客・在庫・資産など、データ管理が中心の業務
- 承認やプロジェクト協働、タスク進行などフローが重要な場面
- 複数メンバーや役割分担が必要な管理画面
- データ安全性や自ホスト運用が求められる企業環境
主な機能
- データの構造化 画面上で表や項目、関係性を作成し、業務データを分かりやすいモデルとして整理できます。表示ビューも柔軟に調整できます。
- 権限管理と協働 ロール・表・項目・ページごとの細かなアクセス制御ができ、権限分離が必要なチームに向いています。 💡 おすすめ:6 大企業向けノーコード・ローコードプラットフォームのRBAC権限体系詳細比較
- 自動化 データの変化をきっかけに通知・承認・外部アクションを実行でき、手作業を減らせます。
- 拡張 プラグイン構造とオープン API により、外部連携や独自機能の追加が可能です。
- 自ホストとデプロイ ローカルでもクラウドでも運用でき、データと環境を自分たちで管理できます。
- API と連携 データモデルから自動生成される API を使って、前端・モバイル・他サービスと連携できます。
- 使いやすさ 非エンジニアは画面設定でアプリを作れ、エンジニアはプラグインや自ホスト運用でより高度に拡張できます。
まとめ 表計算からシステム管理へ移行し、データ構造・権限・フロー・拡張性をしっかり備えたい場合に、NocoBase は長く使える選択肢です。使いやすさと拡張力を両立しており、小規模チームから大企業まで幅広く対応できます。
Retool

公式サイト:https://retool.com/
Retool は、社内向けツールを素早く構築するためのクローズドソース SaaS プラットフォームで、エンタープライズ向けには自ホスト版も提供されています。エンジニアチームを主な対象とし、コンポーネントのドラッグ操作と少量のコードを組み合わせて、データベースや API、バックエンド処理を短時間でアプリとしてまとめることができます。運用管理画面、データパネル、審査ツール、サポート用の内部アプリなどに活用されます。
使用シーン
エンジニアを抱える企業で、内部ツールを素早く構築したいケースに適しています。主な例:
- 受注管理・申請対応・コンテンツ審査などの運用ツール
- データ運用/サポートチーム向けのダッシュボード
- 技術チームが構築する内部コンソールや管理画面
- 既存のデータベースや API と接続する軽量業務ツール
主な機能
- 拡張性 JavaScript による処理記述、API 連携、ロジック構成、外部サービス統合などが柔軟に行えます。複数システムを一つの操作画面にまとめたいチームにとって、開発工数を大きく削減できます。
- データ接続 SQL/NoSQL/REST/GraphQL など多くのデータソースに対応します。画面上でクエリや処理ロジックを記述し、データを統合表示できます。データ構造そのものは扱わず、既存システムのデータを可視化する上位レイヤーとして機能します。
- 使いこなしの難易度 UI は視覚的ですが、本質的には JavaScript や SQL の知識が必要です。複雑なアプリを非エンジニアが単独で作るのは難しく、開発者にとっては扱いやすいが、非技術ユーザーにはハードルがあります。
- 制約 内部ツールを素早く作る用途には優れていますが、外部向けサービスや本格的な業務システムには向きません。データモデリングや業務フロー設計、権限体系は Retool 側では担わず、基盤システムに依存します。プロジェクトが増えるほど管理負荷も高まります。
まとめ エンジニアがおり、目的が「内部ツールを素早く作ること」であれば Retool は非常に効率的です。一方、開発者がいないチームや、データ構造からフロー自動化まで可視化で完結したい場合には、適さない可能性があります。
Appsmith

公式サイト:https://appsmith.com/
Appsmith は、社内向けツールや管理画面を作るためのオープンソースのノーコード/ローコードプラットフォームです。コンポーネントを配置してデータベースや API とつなぎ、必要な部分だけスクリプトを書くことで、業務画面を短時間で組み立てられます。自ホストにも対応しており、データを自分たちで管理したい組織にも適しています。
使用シーン
- 管理画面、運用ツール、審査システム、カスタマーサポートなどの社内ツールをすぐ作りたい
- データベースや API と接続したいが、ゼロから開発したくない
- データの扱いに慎重で、自ホストや基盤管理を重視したい
主な機能
- データ接続 SQL/NoSQL/REST/GraphQL など多くのデータソースに対応し、取り込んだデータを UI コンポーネントで表示・編集できます。複数システムのデータもひとつの画面にまとめられます。
- カスタマイズ性 完全自ホストが可能で、UI、スクリプト、権限設定などを柔軟に調整できます。大規模チームや高度な統合が必要な場面でも使える仕組みです。
- 使いこなしの難易度 UI は分かりやすいものの、データ接続やロジック設定を活かすには技術知識が必要です。表計算よりハードルは高いですが、開発の手間は大きく減ります。
- 制約 完全なノーコードではなく、複雑なロジックや大量アクセスのある場面では追加開発が必要です。非技術チームだけで使うには学習コストがあります。
まとめ
技術者が一定数いて、自ホストやデータ管理を重視し、社内ツールを効率的に作りたいチームには Appsmith が有力な選択肢です。技術者がいない場合や運用を任せられない場合は、導入を慎重に検討する必要があります。
💡 おすすめ:NocoBaseとAppsmith:どのオープンソースのローコードプラットフォームがあなたに適していますか?
Budibase

公式サイト:https://budibase.com/
Budibase は、内部ツールや管理画面を作れるオープンソースの低コードプラットフォームです。自ホストもクラウド運用もでき、データを自分たちで管理したいチームにも柔軟に使えます。
使用シーン
- データ入力ツールや簡易業務システムをすぐ作りたい
- 顧客・在庫・資産などのデータ管理
- 小規模 CRM や承認フロー、小さな運用画面
- 自ホストを必要とする小規模チーム
主な機能
- データ管理 外部データベース接続に対応し、アプリ内でもデータ表を作成できます。項目設定や関係性、フォーム、一覧表示などを整え、表計算より整理された管理ができます。
- 拡張性と自ホスト 権限設定や簡単な自動化ができ、オープンソースなので自ホストで運用できます。データを自分たちで管理したいチームには魅力があります。
- 使いこなしの難易度 表計算よりは扱いやすいものの、データベース連携やビュー作成、自ホスト運用には技術が必要です。非エンジニアには学習コストがあります。
- 制約 複雑な多表管理や高度な権限体系、大規模フローには向かず、より複雑なシステムを作る場合は基礎的なフレームワークとしての利用に留まります。
まとめ
内部ツールを短期間で作りたい、構造化データ管理や自ホストを重視したい場合は Budibase が手軽で柔軟です。ただし、大規模業務には機能が足りないため、軽量フレームワークとして扱うのが現実的です。
Baserow

公式サイト:https://baserow.io/
Baserow は、表計算のように扱えるインターフェースを持ちながら、中身はデータベースをベースにしたオープンソースのデータ管理ツールです。クラウドでも自ホストでも使え、データモデルの整理や拡張性を重視したいチーム、データを自分たちで管理したいチームに向いています。
使用シーン
- 表計算では限界を感じていて、構造化データ管理に移りたい
- 自ホストでデータを管理したい中小企業
- アプリやフロントエンドのバックエンドデータ源として使いたい(REST API)
主な機能
- データ構造 フィールドタイプや表の関係づけ、レコード参照など、表計算より整理されたデータ構造を作れます。直感的な操作はそのままに、中規模データのモデリングがしやすくなります。
- 拡張性 プラグインの追加、フィールドタイプのカスタム、Webhook、API などを備え、技術チームなら軽量データベースとしても活用できます。内部システムのデータ層として使うことも可能です。
- 使いこなしの難易度 表計算よりは扱いやすいものの、表の関係管理などは学習コストがあります。Airtable より自由度が高い反面、デプロイや保守が必要です。
- 制約 Baserow はあくまでデータ管理ツールで、アプリの UI や高度な自動化、業務フローの仕組みは提供しません。業務システムを作る場合はほかのツールと併用する必要があります。
まとめ
構造化データ管理に移行したい、自ホストしたい、データを自分たちでコントロールしたい場合に Baserow は適しています。業務フローや画面づくりまで求めるなら、データ層として使い、別ツールを組み合わせるのが現実的です。
NocoDB

公式サイト:https://nocodb.com/
NocoDB は、Airtable のような見た目で使えるオープンソースのデータベース管理ツールです。実際には MySQL や PostgreSQL など本物のリレーショナルデータベースを使って動作しており、クラウドでも自ホストでも運用できます。既存データベースをつないで、これまでエンジニアしか扱えなかった情報を画面でわかりやすく管理できます。
使用シーン
- 表計算からデータベースに移りたい
- SQL を書かずにデータベースを管理したい中小チーム
- 内部ツールやフロントエンドの API データ源として使いたい
主な機能
- データ管理 フィールドタイプや外部キーなど、リレーショナルデータベースらしい構造を活かせます。表計算より多表管理やデータ一貫性に強く、既存 DB の可視化にも適しています。
- 拡張性 API 自動生成、Webhook、多数の DB 接続を備え、データバックエンドとして使えます。REST API により他のシステムとも統合しやすいです。
- 学習コスト 画面は表計算に近いため基礎操作は簡単ですが、DB 移行や複雑な設計には技術が必要です。技術チームには扱いやすいですが、運用の手間は発生します。
- 制約 アプリ構築やフロー作成機能はなく、CRM や在庫管理システムなどを作る場合は他ツールとの併用が前提です。
まとめ 構造化データを管理したい、自ホストしたい、API を使いたいというチームに向いています。業務システムを丸ごと作りたい場合は、別のツールと組み合わせる必要があります。
💡 おすすめ:NocoBaseとNocoDB: オープンソースのノーコードツールの徹底比較
Airtable

公式サイト:https://airtable.com/
Airtable はスプレッドシートの気軽さとデータベースの構造を兼ね備えた SaaS です。見やすい UI とオンライン協働が強みですが、自ホストはできず、すべてのデータは Airtable のクラウドに保存されます。
使用シーン
- 表計算よりしっかりしたデータ管理がしたい
- プロジェクトやイベントの進行管理
- スタートアップの軽量 CRM や顧客管理
主な機能
- データ構造 表と表を関連づけられ、表計算より整理されたデータ管理ができます。
💡 おすすめ:Airtable のデータ上限に達したとき、どうする?代表的な3つの対処法
- 協働 閲覧、編集、コメントなど基本的な共同作業がしやすく、データの整合性も保ちやすいです。
- 使いやすさ コード不要で扱え、初心者にも分かりやすい UI です。
- 制約 データが増えたり、細かな権限管理や高度な自動化が必要になると限界が見えます。
まとめ Google Sheets より構造化され、協働がしやすいツールを求める場合に Airtable は便利です。ただし、データ量・権限・プロセスが複雑になると対応しきれない場面があります。
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Smartsheet

公式サイト:https://www.smartsheet.com/ Smartsheet は、企業向けのプロジェクト管理とチーム協働に特化した SaaS ツールです。見た目は表計算に近いものの、タスク管理、ガントチャート、自動化、企業レベルの権限管理が強化されており、Google Sheets より本格的なプロジェクト運用に向いています。自ホストはできず、データはすべてクラウドに保存されます。
使用シーン
- 表計算の感覚で、もっと整理されたタスク管理やフロー運用をしたい
- 中〜大規模のプロジェクトで進捗やリソースをしっかり管理したい
- 運用チームのイベント管理、承認、タスク配分
- PMO や運用部門が複数プロジェクトを同時に管理したい
主な機能
- 協働と権限 行単位の共有、閲覧/編集権限、承認フロー、ロールベース権限などが揃っており、多人数で動くプロジェクトに向いています。表計算より細かな権限設計ができます。
- 自動化 タスク通知、ステータス更新、承認フロー、クロス表の同期などを条件に応じて自動化できます。更新作業を減らし、プロジェクトの流れを安定させられます。
- 使いこなしの難易度 表計算のように使い始められますが、プロジェクト管理や自動化を活かすには学習が必要です。慣れないチームにはやや“重い”印象があります。
- 制約 データ構造の自由度は低く、複雑な関係データを扱うには向きません。カスタマイズも制限があり、価格や機能面で小規模チームには過剰な場合があります。
まとめ
表計算ベースでより本格的なプロジェクト管理をしたいチームに Smartsheet は向いています。ただし、自由なデータモデルやアプリ構築を求める場合は、他の仕組みのほうが柔軟です。
結語
Google Sheets は便利な表計算ツールですが、業務システムとして使うには限界があります。
データ量が増え、協働が複雑になり、フローが仕組み化されていくにつれて、より明確なデータ構造、細かな権限、自動化、安定したデータ基盤、将来的に拡張できる仕組みが必要になります。
この一覧が、ツールを選ぶ際に用途・機能・コストの観点で判断しやすくなる助けになれば幸いです。役に立ったら、同じ課題を抱えるチームにもぜひ共有してください。
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