導入
華数メディアは、NocoBaseを活用し、わずか数日でAIマルチモーダルR&Dプラットフォームを一から構築しました。
デジタルテレビおよびメディア業界を牽引する企業として、同社はAIやAIGCといった新しい技術がコンテンツ制作をどう変えていけるのかを積極的に模索しています。
今回、チームは複雑なデータパイプラインとモデルワークフローを統合し、AIGCの革新を支えるビジュアルなプラットフォームを作り上げました。
画像はAIによって生成されました
シナリオ
実際のコンテンツ生成は、単に複数のAIモデルをつなぐだけではありません。
その本質は、さまざまな工程を経て膨大なデータをいかに整理し、活用するかにあります。
この複雑なプロセスをスムーズに進めるため、チームは次の3つの領域に重点を置きました。
- データ管理:テキストや画像などのマルチモーダル資産を一元的に整理・ラベル付けし、構造化されたコンテンツリポジトリとして管理。こうした体系的な基盤があることで、セマンティック検索やレコメンド、自動生成といった高度な機能を支えます。
- ワークフローと制作プロセス管理:企画立案から生成、レビュー、出力まで、すべての工程を自動化・可視化。統合プラットフォーム上で、複数モデルの連携、タスク分担、バージョン管理を効率的に行うことができます。
- データモニタリング:スクリプトや生成履歴、モデル呼び出しログなどをリアルタイムで監視し、異常の早期発見と改善に活用。これにより、チームは迅速なトラブルシューティングと継続的な最適化を実現できます。
課題
ワークフローを短期間で検証しながら、長期的な拡張性も確保する必要がある中で、チームはいくつもの課題に直面しました。
- 管理対象の増加:テキストスクリプトや画像出力などの素材が急増し、モデルや計算ノードも含めた管理が複雑化していました。
- UI開発のボトルネック:インターフェースを少し変更するだけでも、毎回数日間のフロントエンド作業が発生していました。
- 高速な反復開発への負荷:ビジネスチームは数日単位で新機能を求めており、少しの遅れでも実験や検証のスピードに大きな影響を与えていました。
NocoBase導入前、チームはいくつかのAIGC向け開発ツールを試しました。しかし、それらのツールは特定の用途には便利な機能を備えていたものの、依然として多くのコードを書く必要があり、習得にも時間がかかるため、スピード重視の試行錯誤型開発には適していませんでした。
NocoBaseの導入と実装
これらの課題を解決するため、R&Dチームは最終的にNocoBaseをシステム基盤として採用しました。ノーコード構造により、開発者はフロントエンド開発に時間をかけることなく、データモデリングやビジネスロジックに専念できるようになりました。バックエンド中心のチームにとって、これはすぐに開発を開始でき、開発サイクルを劇的に短縮できるという大きな利点でした。
NocoBaseを使うことで、従来なら数十本のAPIと複数のフロントエンド画面が必要だったシステムを、わずか1〜2日で構築。
ワークフロー機能によって、複雑なロジックを数百行のコードから直感的なビジュアルオートメーションへと置き換えることができました。
バックエンド開発者はもうフロントエンドコードを扱う必要がなく、必要な画面はすべてNocoBaseが自動生成します。
さらに、複雑な条件分岐もワークフロー設定だけで実現でき、if-else文で書かれていた処理が一目で分かるフローチャートとなり、重要なポイントでは自動通知が送られるようになりました。
また、PostgreSQLデータベースとのシームレスな統合により、NocoBase内だけでなく、外部のSQLクエリやBIツールからもデータにアクセス可能。既存のデータ基盤を維持したまま柔軟に拡張できる環境を実現しました。
NocoBaseは、AIマルチモーダルR&Dプラットフォームの中核インフラとして次のように機能しています。
- AIスケジューリングおよび管理のハブとして:異なる計算ノードやモデルパイプラインを統合的に制御し、分散していたプロセスを一元化。
- コンテンツ生成基盤として:大規模な画像生成や素材管理を支援し、テキスト・画像など複数モーダルの拡張に対応。あらゆる生成プロセスをシームレスにつなぐ環境を構築しました。
これにより、開発サイクルの短縮だけでなく、研究開発全体の体験も大きく改善されました。
チームのメンバーは特に、NocoBaseの使いやすさと拡張性に強い印象を受けています。
「私たちはバックエンド開発者なので、もうフロントエンドの画面構築を気にする必要がありません。NocoBaseだけでほとんどの業務設計を実現できます。複雑なロジックもワークフローで処理できるので、開発効率は驚くほど上がりました。」
プラットフォームはまだ研究開発段階にありますが、すでに社内で運用が始まり、その効果が実際に現れています。
展望
華数メディアにとって、これは新たな出発点です。
AIワークフローとデータパイプラインを一元化することで、スケーラブルなマルチモーダル開発の基盤を築きつつあります。
この事例は、ノーコードが最先端のAI研究開発を加速させる強力な手段となり得ることを証明しています。
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